脳の記憶に大きな影響を与えるカイロプラクティックケア
カイロプラクティックは、『脳』と『神経』の専門家と言われています。 脳は、生命維持のために体をコントロールしています。 言い換えれば、体の中にある中央コンピューターのようなものになります。今回のコラムでは、その脳について理解を深めるために解説していきます。
脳の記憶量は1.25TB(テラバイト)
脳は神経細胞でできた巨大なネットワークになります。 脳全体の神経細胞の数は、なんと千億個以上もあります。
大脳を覆う大脳皮質は多数のシワをつくることで表面積を大きくしていますが、その面積は広げると新聞紙1枚分に及び、その神経細胞の数はおよそ140億個ほどもあります。
人間が使う記憶容量は1.25TBと言われ、DVDなら240枚、メモ用紙だと5億2800万枚もあります。 こう聞くと、そんなに覚えられないと思うでしょうが、人間は脳全体の1割ほどしか使えていないといわれているので、実際の記憶量はそれ以上になります。
記憶し続けることで、脳を作り変えている!
人間の記憶にはいくつかタイプがありますが、もっとも単純なものに「短期記憶」と「長期記憶」があります。
「短期記憶」だと数秒から数十秒しか記憶できないのに対し、長期記憶だと、ほぼ永久的に記憶しておけます。 脳は、常に記憶情報を更新して不必要な記憶を捨てていくため、情報を際限なく記憶することができます。
脳はまだまだ未解明な部分が多いですが、人間の脳は、とても高度な情報処理と情報伝達に優れているため、難しいことでも記憶することができます。
2017年7月『Neuron』誌に掲載された論文には、記憶が存在できるのは、脳内の細胞やシナプスが「時間を理解しているから」と論じられました。 言い換えれば、人間は記憶をし続けることで、脳(脳内の神経回路)を作り変えているということになります。
いくつかあるタイプの中に、長期記憶の一種として”手続き記憶”というものがあります。 それは、自転車の乗り方や水泳の泳ぎ方の学習になります。 子供の頃、初めて自転車の補助輪を取って乗ったとき、苦労した人は多いでしょう。
人によってはかなりの時間、練習した人もいらっしゃるのではないでしょうか。 しかし、一度乗り方を覚えてしまえば忘れることはありません。
もちろん、競技スポーツのように乗りこなすには毎日の訓練が必要になりますが、私生活で自転車に乗る分には、何年自転車に乗っていなくても、乗り方を忘れるということはまずありません。
むしろ、乗ることのできなかった当初はどうやって転んでいたのか不思議に思います。 この手の記憶は、いわゆるスポーツの基礎練習を繰り返し行うのと同じことになります。
こうした動きの記憶は、短期記憶として脳の中にある小脳に記憶され、その動きを繰り返すうちに長期記憶として “ほぼ忘れない” 記憶となります。
学生のうちに長期間練習したスポーツなどは、その競技からしばらく離れ、大人になってもそれなりにできます。 これは “ほぼ忘れない”長期記憶に刷り込まれた動きと言えます。
カイロプラクティックと記憶の関係
年齢を重ねるごとに、物覚えが悪くなったとよく聞きますが、こんな方もいらっしゃいます。
日本人の原口證(はらぐちあきら)さんは、円周率の暗記で2004年当時の世界記録を達成し、その後も記録を更新し続け、2006年には10万桁を突破しました。 なお、この記録は原口さんが定年退職をした後に達成した記録になります。
人間の能力に限界はないという一つの証明といってもいいと思います。 これを知ると、なんでも年齢のせいにはできませんね!
カイロプラクティックにおいて、脳が作り出すエネルギーに老化という概念はありません。 脳は生きる為に、常に100%のエネルギーを作り出し、私たちの体をコントロールしています。
人間のやる気のように、ある日は70%、またある日は30%ということはありません。 常に100%になります。 それに年齢は関係なく、5歳の人も60歳の人も、脳が作り出す生きるエネルギーは100%になります。
ところが、神経の流れが阻害されると、きちんと情報が脳へ伝わることができなくなり、脳と体の情報のやり取りが上手くいかなくなってしまいます。
脳はその高度な精神活動を支えるため、多くのエネルギーを必要とします。 神経の流れを正すことにより、脳への血流も良くなり、脳の隅々まで栄養が行き渡ります。
そうすれば脳がフル回転して記憶力・記憶量の向上にもプラスに働きます。 このようにカイロプラクティックは、決して痛みを取るだけのものではなく、脳に影響を与えることが可能になります。
これだけだと、カイロプラクティック以外でも血流が良くなればいいんでしょ?という人のために、もう少し詳しく説明させていただきます。
カイロプラクティック・ケアと脳の関係性
人間の記憶の中の「長期記憶」というのは、“ほぼ完璧” に覚えておける機能になります。 この “ほぼ完璧” というところが人間の記憶の面白いところで、人間は、この “ほぼ完璧” な長期記憶に、その都度、短期記憶を繋いでいます。
これは、その状況に応じて適応しているといえます。 適応とは、まぶしい場所に行けば、目に入る光の量を調節するために瞳孔を縮ませたり、逆に暗い場所では瞳孔を開いたり、暑くなれば汗をかいて熱を逃がしたり、寒くなれば汗腺を閉じて熱が逃げないようにすることになります。
文中でお伝えした自転車の乗り方も同じことになります。 確かに乗り方そのものは長期記憶に刻まれているため、忘れることのないものですが、路面の状況はその都度変化しています。
ですが、人間はその変化に適応し続けることができます。 これと同じように、人間の記憶は “ほぼ完璧” な長期記憶にその都度、短期記憶を組み合わせ “ほぼ完璧” な記憶を、より完璧に近いものにしています。
その状況に応じて適応するためには、脳が体に正しい指令を出していることが重要であり、そのためには脳が体の状態を把握していなくてはなりません。
だからこそ、カイロプラクティックで神経の流れを正常にし、正しい情報を脳に届ける必要があります。
適応するということは、生命維持に必要な機能の話だけではなく、人間の記憶のメカニズムにもとても重要な部分ということがお分かりいただけたでしょうか。
カイロプラクティックで神経のサイクルを正常にし、適応能力を高めることは、生命維持の向上だけでなく、人間社会特有の『記憶』という部分にも大きな恩恵を受けることが可能になります。
皆様も、カイロプラクティック・ケアを受けて、自らの脳から大いなる恩恵を受けましょう!
執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。2007年から2016年の間、某大手運送会社で統括運行管理者として勤務。その中で遭遇した数多くの事故を通じて、命の尊さや体調管理の重要性と向き合う。歩けないほどの腰痛に見舞われるが、カイロプラクティックを受け改善。カイロプラクティックを学ぶことを決意しシオカワスクール入学にする。現在は塩川カイロプラクティック治療室で副院長として施術を担当し、地元である神奈川県藤沢市での施術も行っている。また48年続くシオカワスクールでは講師/インストラクターを担当し、後任の育成にも力を入れて活動している。