眠れずに薬だけが増えていくという悪循環に
10年位前に引っ越しをして環境が大幅に変化したのをきっかけに睡眠の質が悪くなった。 眠りが浅く夜中に何度も目を覚ましてしまう。横になっている時間は6~7時間はあるが何度も目を覚ましてしまうので朝はまったく回復していない気がしている。夜しっかりと眠れていないので昼間はずっと眠気がある。
同時期から頭痛も気になり始めた。両方のこめかみがギューと締め付けられるようになり、悪天候で低気圧の日はドクンドクンと脈打つような頭痛が出るようになった。頭痛は朝方よりも夕方以降に出ることが多かった。市販の頭痛薬を飲んで凌いでいたが、しだいに薬も効かなくなってきた。
病院に行っても、「寝ていないのが頭痛の原因です」と言われて睡眠導入剤を処方された。 その薬も飲み始めた当初は効いていたが、しだいに効かなくなり結局また眠れずに薬だけが増えていくという悪循環に陥っていた。さらに眠れていない影響なのか薬の副作用なのか徐々に不安感を覚え始めた。
また、仕事がデスクワークで長時間座り仕事をしている影響か腰痛も気になってきた。 パソコン仕事がほとんどで右肩も上がりにくくなり趣味のボーリングも満足にできなくなってきた。自分では猫背が原因なのではないかと考え、近所の整体やマッサージに通ってみたが症状はまったく改善されず。
そんなとき知人からカイロプラクティックが良いらしいと噂を聞いた。 カイロプラクティックは初めてだったのであちこち調べて塩川カイロプラクティック治療室のホームページを見つけ、ここなら大丈夫という思いで来院された。
左仙腸関節の明らかな可動域制限
腰部起立筋の過緊張
上部頚椎の硬直と後頭部の過緊張
初診時の状態では、左骨盤の明らかな可動域制限が見られた。骨盤の不安定から腰に必要以上の負荷が加わっている状態であった。 また上部頚椎は硬直が見られ後頭部は過緊張の状態だった。レントゲン評価では腰椎5番の椎間板の段階はD4レベルが確認された。また、骨盤の傾きも見られたため初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアから開始した。
ケアを始めて3週後(3回目のアジャスト)には、腰部の起立筋の緊張が少しずつ緩んできていた。4週後(4回目のアジャスト)には、頭痛や夜中に起きてしまう回数が明らかに減って来た。
5週後(5回目のアジャスト)には、悪天候の日でも頭痛はまったく感じなくなった。 仕事中の腰痛もほとんど気にならなくなってきた。6週後(6回目のアジャスト)には、夜中に起きることがほとんどなくなり睡眠の質が明らかに向上した。 この段階で週1回のケアから、2週間に1度のケアに間隔を広げることができた。
現在は症状もすっかりと落ち着き、3~4週間に1度のカイロプラクティック・ケアを続けている。
特に今回の不眠症の問題の原因は、土台となっている骨盤の不安定から腰部に必要以上の負担がかかり、腰部の神経に大きな負荷がかかっていたことが考えられる。特に骨盤部や上部頚椎の範囲は、副交感神経によって支配されております。 副交感神経の支配している場所の神経の流れの妨害(サブラクセーション)は、交感神経を過剰にさせる原因となります。その交感神経が過剰な状態が続いたことで、不眠症の問題に繋がっていたと考えられる。
睡眠の質や頭痛の問題は、上部頚椎の硬直により副交感神経が上手く働いていなかったことが考えられる。腰痛は骨盤の可動域制限から腰部に必要以上の負担がかかり腰の神経に大きな負荷がかかっていた。夜中に何度も起きてしまったり、夕方以降に出る頭痛は交感神経が優位になっている人の特徴でもある。
骨盤部は建物だと土台の部分であり、土台が乱れることで上層部の方へも影響が及んでいた。肩の可動域制限も背骨→肩甲骨→肩と内から外に広がっていくので土台の部分が安定するにつれて上の部位にも安定感を与え良い影響をもたらしたと考えられる。上部頚椎や骨盤部に問題が生じ、交感神経が過剰になり、体の情報が脳へ届いていなかったため治癒する力が働かず悪循環に陥っていた。
アジャストメントによりサブラクセーションが取り除かれ、体の情報が脳へ届いたことで睡眠や頭痛の問題、腰痛や右肩の可動域制限の改善に繋がったと考えられる。
執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。2007年から2016年の間、某大手運送会社で統括運行管理者として勤務。その中で遭遇した数多くの事故を通じて、命の尊さや体調管理の重要性と向き合う。歩けないほどの腰痛に見舞われるが、カイロプラクティックを受け改善。カイロプラクティックを学ぶことを決意しシオカワスクール入学にする。現在は塩川カイロプラクティック治療室で副院長として施術を担当し、地元である神奈川県藤沢市での施術も行っている。また48年続くシオカワスクールでは講師/インストラクターを担当し、後任の育成にも力を入れて活動している。