ふくらはぎや足の裏がつってしまい、痛みで目が覚めてしまう
4年前から右のお尻に痛みが出た。それ以前は腰回りにこれといった不調はなく、ぎっくり腰なども過去1度もなかった。特になにかきっかけがあったわけではないが、ある日から徐々に立っていたり、長時間歩いていると症状が強く出るようになった。
ウォーキングは欠かしたことがないので筋力が低下したという感じもない。朝起きるとガチガチに固まっているので朝・晩のストレッチを取り入れるも症状は変わらず。しばらくするとお尻の痛みが痺れに変わり、徐々に足の方へ痺れが広がっていった。夜、ふくらはぎや足の裏がつってしまい、痛みで目が覚めてしまうことが多くなった。
とにかく初めての経験だったので、どう対処したらいいのか分からず整形外科でレントゲンを撮ると脊柱管狭窄症と診断された。手術をするほどではないと言われたが、これといった治療法はなく痛み止めと湿布で対処していた。
スポーツ整骨院で電気治療を受けていたが、お尻の痛みと脚の痺れがなくなることはなかった。趣味のゴルフやスポーツジムにも行けなくなり、困っていたところ知人の紹介で当院に来院される。
右仙腸関節の明らかな可動域制限
右殿筋の過緊張
腰部起立筋の緊張
初診時では右骨盤の明らかな可動域制限が見られた。症状は右のお尻に痛みのような痺れがあり、お尻の外側からもも裏、ふくらはぎまで痺れが出ていた。腰部の起立筋と右臀部の筋肉は過緊張となっていた。体表温度検査では腰と骨盤に温度の誤差が顕著に見られた。レントゲン評価では腰の椎間板の段階はD5とかなり慢性的だった。
また重度の骨盤の傾きも見られたため、初期集中期(最初の1カ月)では週3回を提案したが、仕事の関係上、週1回のケアから開始した。ケアを始めて2週後(2回目のアジャスト)には、お尻全体が重だるくなるような変化があらわれた。
3週後(3回目のアジャスト)には、脚の痺れを感じない時間が増えてきた。長時間歩いたりしなければお尻の痛みも気にならなくなってきた。この頃には、夜ふくらはぎがつって目が覚めてしまうこともなくなった。
6週後(6回目のアジャスト)には、脚の痺れはほとんど感じなくなり、お尻の痛みも外側から徐々に中心に寄ってくるようになった。8週後(8回目のアジャスト)には、脚の痺れはまったくなくなった。
また睡眠の質にも向上が見られ、一晩眠ると体の疲れがぬけるようになった。この頃には骨盤の動きも安定してきたが、お尻の中心にかるい痛みが残っているものの骨盤が安定してきているので、現在は2週間に1度のペースに間隔を広げてカイロプラクティック・ケアを続けている。
今回の右臀部の痛みと右脚の痺れは重度の骨盤の傾きや右骨盤の可動域制限の影響により腰の椎間板に負担がかかったものと考えられる。レントゲン評価では腰の椎間板はかなり慢性的で椎間板の段階では約10~15年経過したD5レベルと評価した。
定期的に行っていた歩行運動も、本来であれば椎間板にとって良い代謝につながるが、右骨盤の可動域制限の影響で腰の椎間板に常にねじれの動作が加わり症状が進行してしまった。
アジャストメントによりサブラクセーションが取り除かれ、体の情報が脳へ届き、お尻の痛みや脚の痺れの改善に繋がったと考えられる。たとえ脊柱管狭窄症と診断されたとしても、サブラクセーションを取り除くことによって神経機能に改善が見られれば、痛みや痺れに変化が出る症例だと考察する。
執筆者前田 一真
神奈川県藤沢市出身。2007年から2016年の間、某大手運送会社で統括運行管理者として勤務。その中で遭遇した数多くの事故を通じて、命の尊さや体調管理の重要性と向き合う。歩けないほどの腰痛に見舞われるが、カイロプラクティックを受け改善。カイロプラクティックを学ぶことを決意しシオカワスクール入学にする。現在は塩川カイロプラクティック治療室で副院長として施術を担当し、地元である神奈川県藤沢市での施術も行っている。また48年続くシオカワスクールでは講師/インストラクターを担当し、後任の育成にも力を入れて活動している。