ブロック注射などで治療を始めたが、一向に改善することはなかった
目の手術の後に、うつ伏せでの同一姿勢が続くことがあった。その後、目の改善と共に仰向けで寝始めた時に腰に激痛が走った。整形外科でのMRIやレントゲンの結果、脊柱管狭窄症と坐骨神経痛と診断された。
鎮痛剤やブロック注射などで治療を始めたが、一向に改善することはなかった。その後効果の強い座薬を処方され、一時的に痛みは解消されたが、副作用でひどい便秘になってしまった。痛み止めの効果がなくなると、どんな姿勢をしていても激痛が走り、寝ることも困難になってきたので、友人の紹介で塩川カイロプラクティック治療室に来院。
両臀部の硬直と痛み
左腰部起立筋の膨隆
腰部の可動域制限
レントゲンの評価から、腰椎5番の椎間板がD6レベルの状態であり、患者さんの状態を考えたうえで初期集中期(初診日から1ヶ月)を週2回のケアを始めることになった。
当初は、激痛で塩川カイロプラクティック治療室に通院するのが大変であったが、ケアを始めて2ヶ月後(14回目のアジャスト)には、痛みの質や強さが変化し始め、睡眠もできるようになってきた。身体の状態が改善方向に向かい、アジャストメントの保持が可能になったため、週1回のケアに移行した。
ケアの間隔を広げていくと同時に、長時間の同一姿勢や日常生活で腰に負荷をかけると左腰部起立筋の緊張が確認さ、疼痛も現れることもあったが、改善方向に向かっていった。ケアを始めて3ヶ月後(18回目のアジャスト)には、腰部の緊張も緩和され月3回のケアに移行し、徐々にケアの間隔を広げていった。現在では、月1回のメンテナンスを行っている。
腰椎5番の椎間板がD6レベルと慢性化し、椎間板の変性が慢性化し最終ステージの状態であった。この段階では、サブラクセーションが最低でも15年以上放置されている状態であるため、腰部の筋を硬直させ必死で身体を守っていた。
入院時の長時間の同一姿勢によって腰に負荷がかかり、腰の限界を越え発症したと考えられる。初診時では、左腰部起立筋の硬直と膨隆が確認され、骨盤部のサブラクセーションによって、常に左右の骨盤のバランスの乱れが生じ、歩行時に腰部の椎間板に余計なねじれなどの悪影響を及ぼしていたと考えられます。
また、サブラクセーションによって脳が腰部や骨盤部の状態を把握できない状態が続くことで、休息をしても一向に改善する事はなく、負担が蓄積されて行ったと考えられる。骨盤部に対してのアジャストメントを行ったことによって、正常な可動性が復元し、筋の緊張も解消され、神経伝達が正常に行われたことによって疼痛の改善につながった。
今回のケースは、椎間板のステージが最終段階であり、慢性化していたための改善に向かう時間はかかったが、最初のつらい時期に頑張って塩川カイロプラクティック治療室に通院したことが結果に繋がった。
執筆者塩川 雅士D.C.
1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。