人間は約35~37℃の体温を維持しています。 体温を一定に保っているのは、体の活動が安定するためです。 そのために常に体温を一定に保つ必要があります。
気温が低くなり体温が下がってくると、体に蓄えられたエネルギーを使って体温を上げる方向にシフトします。 その反対に気温が高くなると、どんどん上昇する体温を下げるために汗をかくのです。
その体温調節を担っているのがなんと脳になります。脳が外の温度や体内の温度上昇の情報をキャッチして、汗腺に「汗を出して!」という命令を出します。脳が神経系を通して体に指令を出すため、自分の意志で汗をコントロールすることはできません。
では、なぜ体温が上昇していないのに汗が出るのでしょうか?
通常、体に何らかの強いストレスが加わると交感神経のスイッチが入り戦闘モードになります。戦闘モードと言うと何か戦いに備えるといったイメージがありますが、普通の日常生活でも多くの場面で交感神経のスイッチが入ることがあります。
例えば、怒っている時や興奮している時、運動をしている時、仕事での重要なプレゼンテーションや責任のある仕事を任された時などといった様々な日常生活での場面で緊張する時に交感神経のスイッチが入ります。
このように、交感神経のスイッチが入ることは、そのストレスの加わった環境に適応する為に、体を活発に動かすことを目的としています。
例えば、交感神経のスイッチが入ることで、沢山の情報を脳へ届けるために瞳孔が開きます。また、心拍数や血圧を上げることで脳に血液を送ります。
そして、全身から脳へ集められた血液によって体温が上昇することで汗をかいて体温調整して脳を冷却します。
このように、自律神経によって様々なストレスに対して自然と体は順応できるように作られています。
しかし、脳と体を繋いでいる神経に問題(サブラクセーション)が生じると、体が外部の環境の変化を把握することができず、上手く交感神経と副交感神経のバランスを調整することができなくなります。
それが多汗という症状の原因となります。しっかりと脳が外の環境や体の状態を把握することができれば、体は必要な汗の量を分泌し、汗のコントロールをすることができます。
重要なことは、まず体の内に意識を向け神経の流れに着目する必要があります。
ここでカイロプラクティック・ケアが重要になります。脳と神経と体のサイクルが正常であれば、外的要因であるストレスや不安を受けても体は交感神経のスイッチを入れることで対応しています。
脳と神経と体のサイクルが正常であれば、交感神経と副交感神経のバランスがとれて必要な汗の量の分泌と抑制を行うことができます。
生活習慣や環境が変化しても、その環境を脳は瞬時に把握し適切なストレスホルモンを分泌し、その環境に対応してくれます。サブラクセーションによって脳と体のサイクルに問題があると、どれだけストレスを無くしても、または生活習慣を見直したところで、多汗症の根本改善には至りません。
そもそも多汗症は、体のバランスが乱れていることを教えてくれる大切な体のサインになります。その大切なサインをただ薬で隠すのではなく、しっかりと自分の内側と向き合いましょう。